川柳で残せる日常の記憶
毎日ちょっと楽しい事があったり、ああ悔しいなと思う事があったり、悲しい出来事があったり、人は日常の中で色々な気持ちを持ち、さまざまな事を考えます。
年齢を重ねると物忘れもするようになり、こうした些細なことなどを忘れてしまいがちです。
人は年を重ねるほど、短期記憶を記憶しにくくなっていくので、今、現在の事、ちょっと前に起った出来事なども、どんなに覚えておきたいことでも記憶として残せなくなっていくのです。
お孫さんの日々の成長も、日常の中で覚えておきたいことなどがありますが、ちょっとしたことだから記憶から消されてしまうという事もありますし、嬉しいと思う事よりも、辛い、悲しいと思う記憶の方が人の脳裏に残りやすいという事もあり、結局、こうした記憶は覚えておきたくても覚えておけないのです。
そこで高齢者の皆さんにだからお勧めしたいのが「川柳」です。
川柳はよく役場などの広報紙でも募集され優秀賞などが発表されていますが、インターネット上でも川柳の募集など多くなっていて、楽しく参加されている方が非常に多くなっているのです。
哀愁を感じるサラリーマン川柳とはまた違う魅力がある
けっして言葉に出すことはできない奥様への愚痴、思春期で自分を毛嫌いする娘、初めて娘にお風呂を拒絶されたお父さん、上司から小言を言われ部下からダメだしされるちょっと肩身の狭い営業マン・・・サラリーマン川柳を読むと、サラリーマンの悲哀、哀愁を強く感じます。
切実とした川柳もありますが、お父さんたちの日頃思っていることが鮮明に描かれていて思わず笑ってしまうものもありますし、共感する川柳もあります。
高齢者の方々が寄せる川柳はブラックジョーク的なものもあれば、高齢といっても本当にお元気なんだなと感じる川柳、またじんわりと感動する川柳など、年齢を重ねた方々のユニークさ、心の広さ、また高齢だから書ける川柳などもあり、読んでみると高齢者の方々の知識などにも驚かされるものです。
例えば高齢になればだれもが体に一つや二つ、病気や症状を持っているものですが、いつか死ぬ時はぽっくり行きたいと常日頃から言っている人ほど病院通いをしていることを皮肉った川柳もありますし、高齢になって字が震えるようになりそれが逆に絵手紙などでいい味を醸し出しているという、やはり高齢者だから出てくる日常の笑いがあります。
物忘れは多くなる一方なのに、晩酌だけは決して忘れないという川柳などは、「うちのおじいちゃんも同じ!!」と思わず吹き出してしまいます。
中には先に旅立たれたパートナーを思う切ない川柳など、切ない心の中がしっかりと川柳に映し出されたものもあり、川柳というのは様々な思いを描き出す事の出来る素晴らしい趣味だと感じさせます。
物事を考える、思い出す、感じたことを書き記す・・・という事に川柳を利用するというのはとても素敵な事だと感じさせるシルバー川柳は、日常を書き留めておく記録簿となるものでもあり、高齢者の方にオススメできる「粋」な趣味といえるでしょう。